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<酸化チタンの結晶構造と光触媒活性>
天然の酸化チタンには3種類の結晶構造があります。 これらはルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型と呼ばれ、同じ化学式( TiO2)で示されるが、結晶構造が異なっています。 酸化チタンは、バンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を吸収して伝導帯に電子が、価電子帯に正孔が生じます。 このバンドギャップの値はルチル型で3.0eV、アナターゼ型で3.2eVで、どちらも紫外線しか吸収しませんが、ルチル型のほうが少しだけ可視光線に近い部分までの光を吸収できます。 より多くの光を吸収できるルチル型のほうが、光触媒としては適切に思えるが、実際にはアナターゼ型のほうが高い光触媒活性を示します。 その理由の1つに両者のエネルギー構造の違いがあります。 価電子帯の位置は両者とも非常に深い位置にあり、生成した正孔は十分な酸化力を示します。 ところが伝導帯の位置を見ると、水素の酸化還元電位の近くに位置しており、還元力に関しては比較的弱いという特徴があります。 アナターゼ型の伝導帯の位置は、ルチル型よりもさらに負の位置にあることが知られており、ルチル型に比べると強い還元力を持っています。 したがって、この伝導帯の位置の差のために、全体としてはアナターゼ型のほうが、より高い光触媒活性を示すことになります。
 (図 - 酸化チタンの結晶構造)
<酸化チタンが活性化する紫外線>
酸化チタンアナターゼ型のバンドギャップは3.2eVであり、波長に換算すると388nm、すなわち、これより短波長の紫外線を吸収することにより、反応が進みます。 この紫外線は、地球上の太陽光や室内の照明に含まれている近紫外線で、太陽光や室内照明全体からみれば、非常に限られた弱い光です。 光触媒の可視光化も考えられますが、結局現在に至るまで酸化チタンに勝るものは見いだされておりません。 その大きな理由は、酸化チタンよりバンドギャップの小さな半導体は、水分がある状態で光を当てると、自己融解減少を起こしてしまう点にあります。 酸化チタンは388nm以下の紫外線を吸収することにより反応が進むが、現在殺菌灯として実用化されているような、よりエネルギーの大きい254nmの場合には、光が生物のDNAに吸収されて、ピリミジンの2量体を形成するなど、DNAに損傷を与えることがわかっています。
酸化チタン光触媒の場合には、254nmというようなエネルギーが大きく、人体に有害となる紫外線は必要とせず、太陽光の中に含まれ、蛍光灯の中にも含まれている比較的長波長の近紫外線で反応が進行する点で、非常に優れた性質をもっています。
 (表 - 身近な紫外線環境)
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