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<半導体のバンド構造とバンドギャップエネルギー>
原子核を太陽とすれば、その周りを回る電子は惑星のようなものです。 この電子の通り道を軌道といいます。 それぞれの軌道に入ることのできる電子の数は決まっています。 一番外側の軌道に入る電子を価電子といいます。 原子同士の結合はこの価電子の働きによります。 原子の数が少ないときは軌道上の電子のエネルギーはとびとびの値をとっていますが、結合している原子の数が増えていくと、とびとびの値ではなく、ある幅の中に連続的に存在します。 この幅のことをエネルギー帯( バンド )といいます。 バンドとバンドの間は、『 禁制帯 』と呼ばれ、電子エネルギーは禁制帯には存在しません。 電子で満たされているバンドのうち、最もエネルギーの高いバンドを価電子帯といい、その上のバンドを伝導帯といいます。 この時、価電子帯と伝導帯の間の禁制帯のエネルギー幅のことをバンドギャップといいます。 たとえていうと、バンドギャップとは、電子が自由となるために飛び越えなければならない壁のようなものといえます。 飛び越えるためのエネルギーがバンドギャップエネルギーです。 これを飛び越えて、伝導帯にあがった電子だけが自由に動き回ることができるのです。 シリコンの場合のバンドギャップエネルギーは約1.1eVで、光の波長に換算すると約1100nmとなります。 酸化チタンのルチル型は413nm、アクターゼ型は388nm以下の波長の光を当てることにより、価電子帯の電子を伝導帯に引きあがられることがわかります。 また、伝導帯に上がった電子の数と同じだけの正孔が生じます。
<酸化チタンのエネルギー構造と光効果>
異種原子からなる化合物半導体では、価電子帯と伝導帯の形成過程は複雑になるが、原理は同じです。 たとえば、酸化チタンの価電子帯は酸素(O)の2p軌道から、伝導帯はチタン(Ti)の3d軌道からなることが知られています。 通常、バンドギャップの大きな半導体は、価電子帯にある電子は伝導帯まで上がることはできません。 しかし、外部からエネルギーを受け取ると価電子帯帯にある電子は伝導帯まで上がることができ、その結果励起された電子数に等しい空孔数( 電子の抜け穴 )が価電子帯に残されます。 これは、電子が結合性軌道から半結合性軌道へ移ることに対応しています。 すなわち、一般に半導体の光励起状態は不安定で分解などを起こしやすいといえます。 ところが酸化チタンは光励起されても大変安定です。 このことが酸化チタンが光触媒として優れていることのもっとも重要な理由の1つです。 半導体のバンド構造において、光触媒反応に最も影響を与える因子には、次の3つがあります。 それは、 @ バンドギャップエネルギー A 伝導帯の最低点の位置 B 価電子帯の最高点の位置 です。 光触媒反応では、どのような波長の光が有効であるかを決めるには、おもにバンドギャップエネルギーで、光触媒の酸化分解力を決めるのは、おもに価電子帯の最高点の位置です。
 (図 - 酸化チタンのバンド構造)
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